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退院後の生活を支える訪問鍼灸

はりきゅう院 歩(あゆみ)院長

院長:福家洋平

はりきゅう院 歩の院長です

はりきゅう院 歩 院長の福家です。
病院から自宅に戻るというのは、多くの方にとって“ようやく日常に帰れる”という安堵と、“この先どうなるのだろう”という不安が混ざり合う瞬間です。退院直後の身体は、決して万全ではありません。動かしにくい関節、疲れやすさ、痛み、思うように進まない回復。自宅で過ごせる嬉しさの裏側には、静かに積み上がる負担が潜んでいます。
訪問鍼灸は、この退院直後の不安定な期間を支えるためにある医療です。身体だけでなく、生活そのものに寄り添うサポートが求められる場面でもあります。

退院直後の身体は「揺れている」

入院中は、医療スタッフが常に様子を見守り、何かあればすぐ対処してくれます。しかし、自宅に戻るとその支えはなくなり、身体も環境も一気に変化します。少し動いただけで疲れてしまう、前はできていた動作がスムーズにいかない、夜になると痛みが強まる──退院直後によく起こる反応です。病院では“治療”が中心ですが、退院後は“生活”が中心になります。生活の動作は想像以上に複雑で、身体の細かな調整力が試される場面が多いのです。

歩行、立ち上がり、着替え、入浴、台所に立つ動作、トイレの移動。これら一つひとつに不安が生まれると、心も縮こまり、身体の回復が遅れていきます。退院後の数週間は、身体が新しい生活に“慣れるための時間”。訪問鍼灸は、その時間を丁寧につなぎ直し、滑らかに移行できるよう支えます。

訪問鍼灸が整えるもの

退院直後の身体は、痛み・疲労・血流不足・筋緊張が重なりやすく、リハビリや日常動作にブレーキがかかります。訪問鍼灸では、こうした身体の状態を細かく観察し、負担を減らしながら回復につながる方向へ導きます。

● 痛みの緩和

手術後や長期の安静によって、筋肉は硬くなり、関節は動きにくくなります。痛みが強いと動作が制限され、生活のリズムが整いません。鍼灸では深部の血流を改善し、筋緊張をやわらげることで、痛みそのものを減らしていきます。

● 血流とリンパの改善

退院後はどうしても動く機会が減り、全身の循環が弱まりがちです。血流が整うと、疲労感がとれやすく、体力も安定していきます。むくみ、冷え、だるさも改善しやすくなり、生活全体の動きが滑らかになります。

● 関節の可動域改善

退院後の関節拘縮は、多くの方が悩むポイントです。鍼灸と関節運動・ストレッチを組み合わせながら、少しずつ動かせる範囲を広げていきます。痛みで動かせなかった関節が動き出すだけで、生活の自由度が大きく変わります。

● 自律神経の調整

退院後は、睡眠リズムが乱れたり、不安感が強くなる方もいます。鍼灸には自律神経を整える働きがあり、夜間の落ち着き、日中の集中力、気持ちの安定にもつながります。

「動けるようになる」だけが回復ではない

退院後は、リハビリが中心になりがちですが、「動けるようになること」だけが回復ではありません。
痛みなく生活できること、不安が減ること、食事が美味しいと感じられること、夜に眠れること、家族と笑い合えること──これらすべてが回復の一部です。

訪問鍼灸は、この“生活の質”を支える医療です。表情の変化、会話の量、家族との関係、日常の習慣。身体の小さな変化を積み重ねながら、暮らし全体を整えていきます。

家族の不安にも寄り添う

退院後のご家族の多くが感じているのは、「これで本当に大丈夫なのか」という不安です。
痛みが出たときどうすればいいのか、歩かせて良いのか、何をどこまで手伝えば良いのか──こうした疑問は、ご家族の負担を大きくします。

訪問鍼灸では、体の状態を見ながら、生活動作の注意点や介助のポイントも一緒にお伝えします。安心して生活できるためには、ご本人だけでなく、支える人の心が落ち着いていることが欠かせません。

実際のケースから見える「退院後の変化」

大阪市住吉区にお住まいの70代女性。大腿骨の手術後に退院され、歩行への不安が強い様子でした。
訪問鍼灸で痛みを減らし、関節可動域を整えながら、立ち上がり動作と歩行の安定を目指しました。
2週間後、「台所に立つ時間が少し伸びました」と嬉しい声をいただき、1か月後には外出の機会も増えるほど回復されました。

また、80代男性では、退院後の不眠と不安が強く、夜間の覚醒が続いていました。鍼灸で自律神経を整えていく中で、「夜にしっかり眠れた」という日が少しずつ増え、表情も穏やかに変わっていきました。

院長 福家の想い

退院後の不安定な時期に寄り添えることは、鍼灸師として大きな責任であり、喜びでもあります。
私は、「治療」だけでなく、「生活全体を整える」という意識で向き合っています。
動きやすくなることだけではなく、“日常を取り戻していく過程そのもの”に寄り添うこと。
それが、訪問鍼灸の最も大切な役割です。

退院はゴールではなく、ここから始まる新しい生活のスタート。身体も心も揺れる時期に、少しでも安心できる環境をつくりたい──その想いが、私が訪問鍼灸を続けている理由です。

まとめ

退院後の生活は、期待と不安が入り混じった大切な時間です。
訪問鍼灸は、痛みの緩和、血流改善、関節可動域の向上、自律神経の調整を通じて、暮らしそのものを支えます。
身体の変化が生活を変え、生活の変化が心を変えていく。
私は、退院直後の不安定な期間を“穏やかな回復の時間”へとつなぎ直すために、これからも寄り添い続けます。

訪問鍼灸について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
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