「訪問鍼灸を受けてみたいけれど、保険の手続きが難しそう…」 そんな声をよくいただきます。実際、制度の仕組みや同意書の取得方法などは分かりづらく、間違った情報も多いのが現状です。
この記事では、大阪市住吉区のはりきゅう院 歩、院長の福家が、訪問鍼灸を健康保険で利用するための条件や流れ、注意点までを、現場経験をもとにわかりやすく解説します。
訪問鍼灸とは?医師の同意のもとで行う在宅医療
訪問鍼灸は、国家資格を持つ鍼灸師がご自宅や施設へ訪問し、通院が困難な方に対して保険適用で施術を行う在宅医療サービスです。 施術内容は、神経痛・腰痛・関節のこわばり・手足のしびれなど慢性的な症状の改善が中心で、血流や神経の働きを整えることを目的としています。
通常の鍼灸院と異なるのは、医師の同意書をもとに行う「医療行為としての鍼灸」である点です。 そのため、制度上はリハビリや訪問看護に近い位置づけとなります。
訪問鍼灸を保険で受けるための3つの条件
① 医師の同意書があること
保険を使うためには、主治医の署名が入った「同意書」が必須です。 同意書には、病名・症状・施術の必要性などが明記され、医師が「鍼灸が適切」と判断した場合にのみ有効となります。
私は初回訪問時に患者さまへ同意書をお渡しし、どのように依頼すればスムーズに取得できるかを丁寧に説明しています。 医師によっては鍼灸保険の仕組みに詳しくない方もおられるため、必要に応じて医療機関との橋渡しも行っています。
② 通院が困難であること
歩行や移動が難しく、自力での通院が困難な方が対象です。 これは単に「遠い」「忙しい」という理由ではなく、身体的・医学的な理由で通院が難しい状態である必要があります。
- 歩行補助具や車いすを使用している
- 介助がないと外出ができない
- 持病(脳梗塞後遺症・神経疾患など)で移動が困難
一時的なけがや疲労では対象外となります。
③ 慢性的な痛みやしびれなどの症状であること
保険が使えるのは、厚生労働省が定めた以下の6つの疾患です。
- 神経痛
- リウマチ
- 頸腕症候群
- 五十肩(肩関節周囲炎)
- 腰痛症
- 頚椎捻挫後遺症(むち打ちなど)
これらは「慢性疼痛(まんせいとうつう)」と呼ばれる、数か月以上続く痛みや動かしにくさを伴う疾患です。
訪問鍼灸を受けるまでの流れ
- ① ご相談・お問い合わせ
まずは電話またはLINEでお気軽にご連絡ください。症状・お住まい・訪問可能エリアを確認します。 - ② 初回訪問・状態確認
院長の福家がご自宅へ伺い、症状や生活動作を確認。保険適用の可否を判断し、制度の説明を行います。 - ③ 医師への同意書依頼
必要に応じて、医師へ提出する同意書用紙をお渡しします。依頼が不安な方には、依頼文や説明方法もご案内します。 - ④ 施術開始
同意書が返ってきたら訪問スケジュールを決定。1回30〜40分の施術を行います。
訪問鍼灸は、医師・鍼灸師・ご家族・ケアマネジャーが連携して支えるチームケアです。 当院では、初回から安心して受けられるよう医療・介護両面のサポート体制を整えています。
費用と保険の種類
訪問鍼灸は医療保険を使用します。介護保険とは別枠です。 対象となるのは以下の通りです。
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療保険
- 社会保険(健康保険組合など)
生活保護の方は制度上、訪問鍼灸の保険対象外となります。 ただし、医療扶助の範囲で自治体によっては別途相談できる場合もあります。
自己負担額は1回あたりおよそ300〜600円前後(1〜3割負担)です。 訪問距離や施術内容によって若干変動しますが、一般的には1回数百円で継続できることが多いです。
同意書取得の注意点とトラブル事例
現場で多いのは「同意書をお願いしたが、医師に断られた」というケースです。 これは鍼灸保険の仕組みが正しく理解されていないために起こります。 医師によっては「整骨院と同じもの」と誤解している場合もあります。
同意書は医師の指示ではなく『同意』です。 医師が「鍼灸が有効である可能性がある」と判断すれば発行できます。 私はこれまで多くの患者さんと主治医の橋渡しを行い、スムーズに手続きが進むよう支援してきました。
よくある質問(Q&A)
Q. どのくらいの期間、同意書は有効ですか?
A. 有効期限は6か月間です。期限が切れる前に再度主治医に更新依頼を行う必要があります。
Q. 介護保険のサービスと併用できますか?
A. 併用可能です。訪問鍼灸は医療保険枠で行われるため、デイサービスなどの介護保険枠とは重なりません。
Q. 他の治療(整骨院・病院)と併用できますか?
A. 同じ症状で通院している場合は重複保険請求になるため不可ですが、部位や目的が異なれば可能です。
院長の福家が考える「訪問鍼灸の価値」
訪問鍼灸の一番の魅力は、「医療」と「生活」をつなぐ存在になれることです。 医師の診察や薬では改善しにくい慢性症状に対し、生活動作の中でアプローチできるのが訪問鍼灸の強みです。
たとえば、朝起き上がるときの痛み、ベッドからの立ち上がり、介助時の動作など。 こうした「日常の動き」そのものを改善できることが、患者さまやご家族の笑顔につながります。
私はこれまで、痛みで夜眠れなかった方が「朝までぐっすり眠れるようになった」と話してくださった瞬間に、この仕事の意味を強く感じます。
まとめ
訪問鍼灸は、医師の同意書をもとに健康保険を使って受けられる在宅医療サービスです。 条件を満たせば、1回数百円で専門的な施術が継続できます。
痛み・しびれ・関節のこわばり・麻痺など、長期的な症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。 はりきゅう院 歩(大阪市住吉区)院長の福家が、同意書取得から施術まで責任をもってサポートいたします。
当院の想い
はりきゅう院 歩(あゆみ)では、痛みをとることだけを目的とした施術ではなく、「動ける身体」「疲れにくい身体」を取り戻すためのサポートを行っています。
訪問鍼灸は、通院が難しくなった方にとって「身体のケア」と「心の安心」を届けられる大切な施術のかたちです。 少しでも身体が動かしやすくなり、介助や生活が楽になることで、その人らしい日常を取り戻してほしいと願っています。
症状の改善だけでなく、ご本人・ご家族・介護に関わる方々の笑顔が少しでも増えるように。 これからも一人ひとりの暮らしに寄り添い、地域の中で安心して過ごせるようお手伝いを続けてまいります。
大阪市住吉区のはりきゅう院 歩、院長の福家として、これからも皆さまの「歩み」を支える存在でありたいと思っています。