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ケアマネさんに知ってほしい訪問鍼灸の活用法

はりきゅう院 歩(あゆみ)院長

院長:福家洋平

はりきゅう院 歩の院長です

はりきゅう院 歩 院長の福家です。
介護や在宅医療の現場では、日々さまざまな職種が関わり合いながら、一人の利用者様を支えています。その中で「訪問鍼灸がどう活かせるのか」「ケアプランに組み込むメリットはあるのか」といった質問を受けることが多くあります。
訪問鍼灸は、痛みを取るための施術にとどまらず、心身の調整を通して生活全体の質を底上げしていく医療行為です。現場での連携を重ねてきた立場から、その意義と可能性をお伝えします。

訪問鍼灸の役割と目的

訪問鍼灸は、国家資格を持つ鍼灸師が医師の同意書をもとにご自宅や施設へ伺い、医療保険を用いて施術を行う制度です。
主な対象は、通院が難しい方や痛み・拘縮・しびれなどの症状で日常生活に支障を感じている方。目的は、動作を阻む「痛み」や「筋緊張」を和らげ、動ける状態を整えることにあります。

例えば、リハビリを継続しても痛みのために体を動かせない方や、血流が悪く関節が固まってしまう方。こうしたケースでは、鍼灸がリハビリや介護の効果を高める“前準備”のような役割を果たします。
痛みを緩和し、筋肉のこわばりを解くことで、入浴介助や歩行訓練、立ち上がり動作がスムーズになる。訪問鍼灸は、生活動作の基盤を整えるサポートです。

訪問鍼灸で得られる効果

訪問鍼灸の効果は、痛みの軽減だけにとどまりません。関節拘縮や筋緊張の緩和、血流改善による褥瘡予防、夜間不眠や自律神経の乱れの安定化など、多面的な変化が見られます。
身体の内側から整えることで、動作が軽くなり、食欲や表情、睡眠の質まで改善する方も少なくありません。

ある80代の利用者様は、脳梗塞後の麻痺により右脚の緊張が強く、立ち上がる際に激痛が走っていました。週2回の訪問鍼灸を始めたところ、約1ヶ月後には「足が軽く、動かすのが怖くなくなった」と話され、介助量も減少。ケアマネジャーからも「他の介助動作がスムーズになった」と喜ばれました。
このように、鍼灸は“生活の質を底上げする調整役”として現場に溶け込みます。

医療保険の活用とケアプランへの組み込み

訪問鍼灸は医療保険の対象であり、介護保険の単位を消費せずに導入できます。
既にリハビリやデイサービスを利用している方でも併用可能で、ケアプランを圧迫することがありません。
導入には医師の「同意書」が必要ですが、書類手続きや申請の流れは当院がサポートいたします。ケアマネジャーの業務負担を増やさず、スムーズな導入が可能です。

対象となるのは、疼痛やしびれ、拘縮が強くリハビリ効果が出にくい方、ADL(日常生活動作)維持を目指したい方、夜間不眠やストレスによる自律神経の乱れを抱えている方など。
リハビリ単独では届かない「身体の内側の調整」にアプローチできるのが、訪問鍼灸の強みです。

チームケアにおける訪問鍼灸の位置づけ

訪問鍼灸は、在宅医療や介護の現場において「機能回復と生活支援の橋渡し役」として機能します。
痛みが減ることで動作訓練がしやすくなり、結果的に活動性が高まる。
この連鎖が介護量の軽減やリハビリ効果の持続につながります。

当院では、施術後に身体の変化をケアマネジャーや看護師に共有しています。
「膝の動きが良くなった」「夜の痛みが軽減した」といった小さな変化でも、それが次のケア計画に生きていく。
こうした積み重ねが、チームケア全体の精度を高める鍵になると感じています。

現場の声と実際の変化

あるサービス付き高齢者住宅では、週2回の訪問鍼灸を導入後、「入浴介助がしやすくなった」「立ち上がりが軽くなった」とスタッフからの報告が増えました。
また、認知症の方に対しては、自律神経の調整を目的に穏やかな刺激を行うことで、不安感や夜間覚醒が減少。夜の見守り回数が減ったと、ケアマネジャーからも評価をいただいています。

このように、訪問鍼灸は患者様本人だけでなく、介助する側の負担も軽減し、現場全体の流れを良くする役割を果たしています。

院長 福家の想い

私はこれまで、整形外科や介護施設、在宅訪問の現場で数多くのケアマネジャーと関わってきました。
介護の現場では、誰か一人の努力では支えきれない現実があります。
だからこそ、医療と介護の間を繋ぐ存在として、訪問鍼灸の力をもっと活かしたいと思っています。

痛みを和らげることは、単に「楽になる」ことではありません。動けるようになることで生活の選択肢が広がり、自分らしさを取り戻すきっかけになる。それを支えるのが、訪問鍼灸という仕事の本質だと感じています。

私は、ケアマネジャーや看護師、リハスタッフなど、チームで支える人たちと協働しながら、利用者様一人ひとりの「動ける日常」を取り戻していきたい。医療と介護の狭間を埋める架け橋として、これからも現場に寄り添い続けます。

まとめ

訪問鍼灸は、痛みや筋緊張の軽減に加え、リハビリ効果の維持・介助負担の軽減・自律神経の安定など、多方面に作用します。
医療保険で導入でき、介護保険の枠を圧迫しない柔軟な支援。ケアマネジャーにとっては、チーム全体を支える“静かな医療”です。

私、福家はこれからも地域の皆様と連携し、訪問鍼灸を通して「動ける身体」「穏やかな心」を取り戻すサポートを続けていきます。
一人の利用者様を多職種で支える在宅ケアの現場において、鍼灸が信頼できるパートナーとして寄り添えるよう努めていきます。

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