はりきゅう院 歩 院長の福家です。
ご家族の介護を続けている方から、「もう少し楽に介助できたら」「痛みが減れば助かるのに」といった声をよく伺います。
介護は体力だけでなく、精神的なエネルギーも大きく消耗する仕事です。
毎日の積み重ねの中で少しずつ疲労が蓄積し、気づかないうちに笑顔が減ってしまうこともあります。
訪問鍼灸は、そうした介護の現場を支える一つの手段として、大きな役割を果たしています。
ご本人の身体を整えるだけでなく、ご家族の“介助がしやすくなる環境”を整えることで、心にも余裕を取り戻すサポートができます。
介護の負担は「身体」と「心」の両面にある
長期間の介護は、介助する側の身体にも負担をかけます。
立ち上がりや移乗の動作、体位変換など、何度も繰り返す動作は腰や肩への負担が大きく、慢性的な痛みを抱える方も少なくありません。
同時に、「痛そうでかわいそう」「もっと何かできるのでは」という精神的なプレッシャーも加わり、心の疲れが大きくなっていきます。
介護の疲労は、体だけでなく心にも静かに積もっていくものです。
この“見えない疲れ”を軽減するには、介護をする側が安心して寄り添える環境が必要です。
訪問鍼灸は、そうした環境づくりの一助となります。
鍼灸によってご本人の痛みや筋緊張を軽減し、動作がスムーズになることで、介助の際の抵抗や痛みが減ります。
少しの変化でも、「今日は動きやすい」「楽に立てた」と感じてもらえると、介助する側の不安も自然と和らいでいきます。
身体が整えば心が落ち着き、介護の時間が“苦労の時間”から“穏やかな時間”へと変わっていくのです。
訪問鍼灸で軽減できる介護の負担
訪問鍼灸では、筋肉や関節の動きを整えることで「介助しやすい身体づくり」をサポートします。
たとえば、膝や腰の痛みが和らぐことで立ち上がり動作が安定し、介助者が全身の力を使って支える必要が減ります。
また、拘縮がやわらぐと衣服の着脱やおむつ交換もスムーズになり、日々のケア時間が短縮されるケースもあります。
さらに、鍼灸によって血流が改善すると、体温や代謝も上がり、冷えやむくみが減少します。
身体が軽く感じられるようになると、自主的に手足を動かす機会も増え、介助の頻度自体が少なくなっていくこともあります。
こうした変化の積み重ねが、介護する家族の身体的負担を確実に軽くしていきます。
心のゆとりを取り戻す“穏やかな介護時間”
介護は、単なる動作の連続ではなく、家族の関係そのものでもあります。
介護を通じて生まれる感情には、愛情や感謝だけでなく、時に無力感や焦りも含まれます。
訪問鍼灸は、そんなご家族の心にも寄り添う存在です。
施術の時間は、身体のケアであると同時に“対話の時間”でもあります。
施術中、ご本人が安心して穏やかに過ごされる姿を見ることで、ご家族の表情も柔らかくなります。
「最近、笑うことが増えた」「夜ぐっすり眠れるようになった」といった小さな変化は、ご家族にとって大きな励みになります。
痛みが減り、心が落ち着くことで、介護そのものに対するストレスが軽くなり、家庭内の雰囲気まで変わっていくのです。
実際の現場から見える変化
大阪市住吉区のあるご家庭では、90代の女性を在宅で介護しているご家族がいらっしゃいました。
膝の痛みと腰のこわばりが強く、立ち上がるたびに支えが必要でしたが、訪問鍼灸を週2回続けるうちに、膝の動きが少しずつ柔らかくなり、ご本人から「前より立ちやすい」との声が。
ご家族も「介助のときに力を入れすぎなくて済むようになった」と喜ばれていました。
身体が動くようになると、介助する側も自然と声かけが増え、笑顔の時間が多くなっていきます。
また、施設でのケースでは、入浴介助時に膝の屈曲拘縮が和らぎ、「以前よりも曲げやすくなって介助が楽になった」と看護師長から感想をいただきました。
施術を通じて身体が整うことは、本人だけでなく、介助する側の作業効率や安全性にも直結します。
これはまさに、現場で働く方々の心の余裕につながる変化です。
医療保険で継続しやすい安心の仕組み
訪問鍼灸は医療保険の適用を受けられるため、長期的に無理なく続けられる点も大きな特徴です。
医師の同意書があれば、1割負担の方で1回あたり400円前後。
訪問リハビリやデイサービスとは異なり、介護保険の単位を消費しないため、他のサービスと併用が可能です。
また、書類や申請手続きは当院が代行しますので、ご家族の負担は最小限に抑えられます。
生活保護の方は対象外ですが、自費(60分 6,600円+交通費)でも対応しています。
介護保険の限度を超えてしまったケースでも、柔軟に施術プランを組み合わせることができます。
ご本人とご家族が安心して続けられることを第一に、無理のない形で継続支援を行っています。
院長 福家の想い
私はこれまで、数多くのご家族と介護の現場で向き合ってきました。
介護をしている方々は、皆さん本当に優しく、真面目で、家族を思う気持ちにあふれています。
しかし、その思いが強いほど、自分を後回しにしてしまう傾向があります。
「しんどい」と言えずに抱え込み、気づいた時には体も心も限界に近づいている。そんな姿を何度も見てきました。
訪問鍼灸の施術中、ご本人が穏やかな表情で休まれている時、隣で座るご家族の肩が少し下がるのを感じる瞬間があります。
そのわずかな時間が、心の休息になっているのだと思います。
私は、訪問鍼灸を「家族の心のリハビリ」としても位置づけています。
身体がほぐれることで介助が楽になり、同時に心の緊張が緩む。
その循環が、介護を続ける力を取り戻す源になります。
誰かを支え続けるというのは、決して簡単なことではありません。
だからこそ、私たち専門職が寄り添い、支える側の健康も守る必要があるのです。
私は、訪問鍼灸を通じて「介護を頑張る家族の笑顔」を増やしたいと思っています。
それが最終的に、ご本人の穏やかな時間へとつながっていくからです。
まとめ
訪問鍼灸は、介護を受ける方の身体を整えるだけでなく、介護をするご家族の心と身体を支える医療です。
痛みが軽くなれば介助が楽になり、介助が楽になれば笑顔が増える。
その連鎖が家庭の空気を変え、介護を“負担”から“支え合い”へと変えていきます。
私、福家はこれからも、ご家族と共に介護の時間を少しでも穏やかなものにしていけるよう努めていきます。
「どうしても疲れてしまう」「何から始めていいかわからない」そんな時こそ、訪問鍼灸を頼ってください。
身体を整えることで、心にも明かりが灯ります。
それが“歩”が地域で続けていきたい、本当のケアのかたちです。
訪問鍼灸について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
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